鑑賞した日付:2007年9月頃
書籍「海辺のカフカ 上、下」  作者:村上春樹
★★★★
総合点:80点/100点

前回紹介した「神の子どもたちはみな踊る」の次に読んだのがコレ。
人気作家と言う事もあり、一時期話題になっていた小説。
これも上下巻で長い割には読みやすくてかなり速いペースで読めた。


読後にホンノリと切ないような感覚が残ってしまった。つまり良い作品と言う事だ。それは”臨場感に惹き込まれた”と言う証拠なのだろうから。

ディティールを言うと、
あまり共感できない所や無理のあるところが多々あったが、
トラック運転手が「プロレタリア」なんて言葉は普通使わないし、その時点でかなり冷めた部分もあった。登場人物全てが非現実的なまでにインテリで、あり得ないインテリでハイソな理屈を常に捏ね回す、登場人物それぞれの出会い方、声の掛け方、口調
全体的には凄く良かったです。楽しめました。

村上春樹の小説は、本筋の話よりも劇中劇の様な、ちょっと出てくる小話がメチャクチャ面白いと思った。この「海辺のカフカ」という作品で言えば、話の本筋であるカフカ少年の話よりも、中田さんというお爺さんの子供の頃の話や、その中田さんがジョニー・ウォーカーさんと対峙する場面とかの話の方が面白かった。
あと、村上春樹の小説はどれも、明確にストーリーの意味が分かる様なモノでもないと思う。その辺りはかなり曖昧というか、意味不明系の話だったり、オチなしの純文学的だったりもする…と思う。

このお話の中に出てくる登場人物を、自分の中では「誰」として配役するか・・と言う事を頻繁に考えてしまい、その事をとっても僕がこの話にのめり込んでいた様が覗える。良い作品だ。その登場人物を「誰の様な人」と、仮定して読んでいる…ということ。

この本について書かれた他のHPでも、
映画化するならこの人!みたいな配役が読んだ人なりに記されていた。
共感できる部分もあれば、「それはどうかなぁ~・・」と思うような配役もあって面白かった。








(この記事、文章は2007年に書いたものです。)